なぜ、気象予報では平均気温を使わないのか
日本列島は南北に長いため、北と南では気候のあり方が異なる。現に沖縄は亜熱帯気候に属しており、北海道は冷帯に属している。*1当然気候帯の違いは気温推移の違いを生じさせる。そこで、2009年の網走と那覇において、日較差を比較しその大きさの違いから平均気温が気象予報において役に立ちにくい。
まず、図1と図2は網走と那覇それぞれの最高気温と最低気温を一年間プロットしたものである。
(図1)
(図2)
図1と図2を比較すると網走は特に最高気温のブレが目立つ一方、那覇では一年間を通して比較的安定した気候が見られる。特に夏場では最高気温と最低気温の差が大きい日がよく見られる。こうした最高気温と最低気温の差は日較差と呼ばれ一日の気温差を表す。日較差が大きいということは、平均気温からの乖離も大きいということになる。そのため日較差が大きい地域では一日の平均気温が意味をなさない。そこで、2009年の網走と那覇において日較差を比較した。
2009年の網走と那覇における日較差比較 |
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網走 |
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最大値 |
19.8 |
10.9 |
75%分位点 |
9.2 |
6.1 |
中央値 |
6.8 |
5 |
25%分位点 |
4.9 |
4.1 |
最小値 |
1.6 |
1.7 |
(図3)
図3は2009年の網走と那覇における日較差比較を箱ひげ図として表したものである。この図から明らかなように網走では気温の日較差が大きい。仮に比較的日較差が小さい沖縄県だけの気象予報ならば、平均気温の公表も意味があるといえるが、日較差の大きい網走のような地域を含む全国的な天気予報で、平均気温を発表する必要がないと考察した。
*1 ケッペンの気候区分において亜熱帯という区分はないが、ここではフローンの気候区分・アリソフの気候区分で沖縄は亜熱帯に所属していることから亜熱帯とした。
(参考資料)
気象庁「過去の気象データ・ダウンロード」
<https://www.data.jma.go.jp/gmd/risk/obsdl/index.php>
(最終アクセス:2020/06/26)
饒村曜「冬型が緩んだ時は気温の日較差に注意、日本でも30度以上の記録がある」
<https://news.yahoo.co.jp/byline/nyomurayo/20170205-00067326/>
(最終アクセス:2020/06/26)